〔トピックス〕新型コロナウイルスとペット

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中、とうとう日本でも『緊急事態宣言』が発出される状況になりました。東京を含めて7都府県を対象に2020年4月7日から5月6日までの1ヶ月間とのことですが、1ヶ月で収束する保証はありません。

 

緊急事態宣言下ではこれまで以上に外出自粛等により人との接触を減らすことが求められています。しかし、通勤、通院および食料の買い出し等、社会生活上どうしても人との接触は避けられません。つまり、私たちは誰でも新型コロナウイルスに感染する可能性があるのです。

 

そこで気になるのが、もし飼い主である自分が新型コロナウイルスに感染した場合に、ペットの犬や猫にも感染するのかどうかという点です。今やペットの犬や猫は多くの場合、家の中で飼われており、濃厚接触という意味では、夫や妻、子供以上に濃厚接触の対象となっているといえるのではないでしょうか。

 

また、逆にペットから人に感染するのか?、飼い主が感染した場合にペットに対してどのように対応すべきか?、感染拡大および外出自粛要請の中、動物病院へ行くことに問題はないのか?、ペットフードやトイレシーツ等の買い置きは必要なのか?など他にも色々と気になることがあります。

 

【ペットにも感染するの?】

新型コロナウイルスは人からペットの犬や猫に感染することがあるのでしょうか。これまでに、香港で犬への感染、ベルギーで猫への感染、アメリカでトラへの感染が報告されていますが、私たちはこうしたニュースをどのように受け止めたらよいのでしょうか。

 

この問題については、環境省や公益社団法人東京獣医師会が見解を出しています。

 

 環境省(4月9日事務連絡 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた事業者における配慮事項等について(情報提供))

「新型コロナウイルス感染症は人から人に感染するとされており、現在までペットが新型コロナウィルス感染症を広め得るという証拠はない。」

 

 公益社団法人東京獣医師会(新型コロナウイルスに関するQ&A 4月8日)

「次々に新しい情報が発信されている現時点でも新型コロナウイルス感染症はヒトからヒトへ感染する病気であり、ヒトからペットに感染したとしても、さらにペットがヒトに病気を移す可能性は限りなく低いだろうと、世界中の多くの専門家も含めて考えています。」

 

つまり、人から犬や猫に新型コロナウイルスに感染する可能性は否定できないが、基本的には、人から人への感染の問題であるという点が強調されています。

 

ただし、同獣医師会では、飼い主が感染した場合にペットの犬や猫への接し方についてはマニュアル(『新型コロナウィルスに感染した人が飼っているペットを預かるために知っておきたいこと』)を提示して、感染を拡大させないように対処することが必要であるとしています。

 

要するに、感染した飼い主と一緒に生活しているペットの犬や猫の体表には新型コロナウイルスが付着しているので、犬や猫が媒介となってウイルスを拡散させないようしましょうということです。具体的な手順については、上述のマニュアルを参照ください。

 

【動物病院は通常営業?】

外出自粛の中、動物病院は通常通りに営業しているのでしょうか。今のところ(4月10日現在)、動物病院は休業要請の対象(東京都)には含まれていませんし、多くは通常通りに営業しているようです。

 

ただし、今後、診療時間の短縮や予約診療の徹底等の対策が講じられる可能性がありますので、病院へ行く場合には事前に確認の電話をするなど状況確認をした方が良いでしょう。また、混んでいる待合室に長時間滞在することは感染リスクを高めることになりますので、空いている日時を利用する、マスクをするなどの一般的な感染防止対策を講じましょう。

 

【ペットフード等の買い置きは必要?】

犬や猫のフードやトイレシーツ等の買い置きの必要性はあるのでしょうか。ペット関連の消耗品については一定量を常にストックすることをお勧めします。今回の新型コロナウイルス感染拡大に限らず、地震等の自然災害や商品の欠品等への備えは常に必要だからです。

 

偏食傾向のペットやアレルギーや病気持ちのペットの場合には特に多めにストックしておく必要があります。大きな災害時には、ペットへの支援は後回しになることを常に心にとめておきましょう。

 

なお、どんなものをストックしておく必要があるのかなど、参考になるものに、環境省が発行している『人とペットの災害対策ガイドライン』(平成30年9月発行)がありますので、一度目を通しておくとよいでしょう。 

 

【まとめ】

  • 人からペットへの感染は一般的ではないので、過度に心配しない。
  • 飼い主が感染した場合はペットを媒介に感染を拡大させない配慮が必要。
  • 動物病院の利用の際には、事前に電話等で状況確認をする。
  • ペットフード等のペット関連品は常にストックしておく。