〔トピックス〕被災ペットとSOS

●台風は怖い!

2019年の秋、大型の台風がたて続けに2つ、首都圏を直撃しました。台風15号と19号です。

 

台風15号は、9月9日3時前に三浦半島付近を通過して、5時前に千葉市付近に上陸。千葉市での最大風速は35.9メートル、最大瞬間風速57.5メートルと猛烈な風が吹き荒れたことから千葉県を中心に大きな被害をもたらしました。

 

まだまだ暑い時期に長期間の断水と停電によって厳しい生活を余儀なくされている千葉県に住む人々の姿や風害により被害を受けた多くの建物がブルシートで応急処置している風景をニュースで度々目にしました。

 

他方、台風19号は、10月12日19時前に伊豆半島に上陸した後、関東地方を通過。関東甲信地方、東北地方を中心に記録的な大雨となり、神奈川県箱根町では総雨量が1000ミリに達し、土砂崩れや浸水被害により、観光施設や周辺の交通網に深い爪痕を残しました。箱根町以外でも千曲川の堤防崩壊や各地での浸水被害のほか、多くの人命が奪われました。

 

いずれの台風でも、河川の近くや土砂災害の可能性のある地域に住んでいる人の中には避難所やホテル、親戚の家など自宅を離れて避難した人も少なくありません。

 

●避難行動とペット

では、避難する場合にペットはどうしたらよいのでしょうか。環境省では、ペットの災害対策の中で、飼い主は、自分たちの安全の確保とともにペットの安全を確保し、避難する場合にはペットも一緒に避難(同行避難)するよう指針を示しています。

 

そのために、日頃から被災した場合に備えて、ペットの食料や備品を準備しておくこと、他の人に迷惑がかからないようにしつけをする必要があるなど、環境省ではペットと防災に関して『ペットを守ろう!防災対策』というリーフレットを作成して普及啓発に取り組んでいます。

画像出典:http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2909a.html

 

しかし、同行避難が基本とされていることと、自治体が設置する避難所でペットを受け入れてもらえるかどうかという問題は別問題です。台風15号、19号でも避難所は設置されましたが、ペットの受け入れについては避難所ごとに異なっていました。

 

●避難所に行けない場合は?

では、自宅に電気が来ない、水がない、ペット動物がいて避難所にも行けないとなった場合、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

 

まずは、友人、知人、親戚などに助けを求めてはどうでしょうか。一定期間、ペット動物の世話をしてもらえる人の手を借りるのです。日頃からおつきあいのある人であれば安心してペットを預けることができます。

 

手を貸してもらえる人が思い浮かばない場合には、自治体に相談する、動物保護団体に相談するなど公共的な活動をしている行政や動物保護団体に助けるを求めてみてはどうでしょうか。

 

実際に、台風19号の際には、川崎市が被災した人向けに、一時預かり支援を実施しました。自宅等が被災した場合に最大2週間、ペットを預けることができるというものです。各地の民間の動物保護団体も被災ペットの支援活動をしていました。

 

また、いつもお世話になっている動物病院の先生に相談してもいいでしょう。最近では、日本獣医師会も『災害時動物救護の地域活動ガイドライン』を策定するなど、被災ペットの支援に積極的に取り組んでいます。

 

SNSやネットインフラの発達した現代では、不特定多数の人に向けてペット動物を預かってほしい、物資を提供して欲しいというSOSの発信をすることもできます。被災した場合には、自分だけで抱え込まずに、とくかく相談すること、SOSを発することが大切なペットたちの命を守ることにつながるのではないでしょうか。

 

 

おちよさん
被災すると、あたしもつらいのよ!