〔トピックス〕改正動物愛護法が成立

動物愛護と人との共生を目的とする法律「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正法が2019年6月12日に成立しました。同法は5年ごとに見直すことになっており、今回の改正は1999年、2005年、2012年につづく4度目の改正になります。

 

この法律は一見すると動物を保護するため(動物虐待の防止など)の法律と思われがちですが、動物の健康や安全への配慮を求めるだけではなく、人の生活に迷惑をかけないような飼養管理の実現を図ることも目的にしています。

 

たとえば、同法7条(動物の所有者又は占有者の責務等)は、動物の所有者や占有者が一般的に負うべき責任を明記しています(①~⑦)。それらを見ても、動物の安全・健康や幸せを目的としている側面と人の安全と環境を守ることを目的としている側面の両方に配慮していることがわかります。ペット動物と暮らす場合には、ペットの動物のことだけでなく、人に迷惑をかけないような飼養管理が法律的にも求められているこということです。

①動物の健康及び安全を保持するように努めること・人に迷惑を及ぼすことのないように努めること

②動物に起因する感染症等に注意を払うこと⇒人への感染の危険性がある

③動物の逸走の防止措置に努めること⇒人に危害を加える可能性がある

④終生飼養に努めること

⑤繁殖に関する適切な措置(避妊・去勢など)を講ずるように努めること⇒多頭飼いによる悪臭・騒音問題など人の生活環境が悪化する恐れがある

⑥動物の所有者を明確にするように努めること(犬に関しては狂犬病予防法により鑑札をつけることが義務)

 

さて、今回の改正法の内容ですが、基本的な方向性は動物愛護を促進する方向といえるもので、言い換えると、飼い主や事業者などにとってはより厳しく飼養管理の適正化が求められているということです。

 

例えば、生後56日を経過していない犬や猫の販売は禁止されることになります。生まれてから8週間を親や兄弟と過ごすことが犬や猫にとって大切であることから、欧米諸国では以前から厳しく規制されている点です。日本においては今回の法改正で盛り込まれました。

 

また、動物虐待に対する厳罰化によって、動物殺傷に対する罰則が「2年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」から「5年以下の懲役又は5百万円以下の罰金と2倍以上に引き上げられます。

 

他に注目されている改正点としては、犬や猫の販売業者にマイクロチップ装着を義務づけた点や獣医師の動物虐待に関する通報の義務化などです。なお、マイクロチップの装着についてですが、飼い主については努力義務にとどまっています。

 

主な改正点対象者
出生後56日を経過していない犬猫の販売禁止事業者
動物虐待に対する厳罰化すべての人
マイクロチップ装着の義務化事業者
動物虐待等の通報義務獣医師